まだら認知症とは?特徴や原因を解説

高齢化社会といわれている現代、認知症の罹患者は年々増加傾向にあります。

そんな認知症の症状にもいろいろありますが、まだら認知症ってご存じですか?
まだら認知症って何?と、疑問に思う人も多いでしょう。

まだら認知症とは、認知症の種類ではなく単なる症状の呼び名です。
その症状は、できることとできないことに差があり、日時・タイミングで症状に波があります
まだら認知症の症状は、脳梗塞などの脳血管障害が原因であらわれます。

今回は、まだら認知症の特徴や原因、また予防対説明します。

症状に波があるので、見逃しやすいまだら認知症に気づき早めに受診し予防しましょう。

1.まだら認知症とは

まだら認知症とは、
「記憶力はそれほど低下していないが、料理のなど手順のある作業ができない」
またその逆で、
「物忘れがひどいのに難しい本が読める」「朝できていたことが今できない」など、
やることや時間帯によって症状に差ある認知症の症状のことです。

正式な病名は、「脳血管性認知症」といい、そのなかで症状がまだらにでるものが、まだら認知症といいます。

脳血管へのダメージの部分に応じて機能が低下するので、認知症と気づかず「調子悪いのかな?」と思い症状を見逃しがちです。

まだら認知症の初期症状は、頭痛やめまい、手足のしびれなどです。それに続いて、記憶力の低下が生じます。
しかし、理解力や判断力は維持されていることが多いです。

一見普通の人にみえますが、突発的な物忘れが多く日常生活に支障が出やすくなります。
そして、
脳の中では認知症が進んでいきます。

脳へのダメージは部分的になので、認知機能が全般的に低下するわけではありません。できることとできないことの差が大きくなるのがまだら認知症の症状です。

まだら認知症の特徴は下記のとおりです。

【まだら認知症の特徴】

       病気の自覚がある

       脳血管障害のあと突然発病することがある 
   脳血管障害を再発するため段階的に症状が悪化していく

       記憶障害は軽い場合が多い

       運動障害や言語障害を起こしやすい

表れる症状は、どこで血管障害が起きたかによって異なります。

これから、症状について説明します。

遂行機能にダメージ・意欲低下が表れた場合の症状です。

遂行機能障害・意欲低下

       仕事や料理の段取りができなくなる
       行動や考えが遅くなる
       意欲が低下し無関心になる
       集中力が切れやすい
       場違いに笑う、泣くなど感情表現のコントロールができない

 

運動機能にダメージがあった場合の症状は次のとおりです。

運動障害

       歩行障害
       片側の手足の麻痺
       排尿障害・尿失禁
       飲食物をうまく飲み込めない嚥下障害
       口ごもるなどの言語障害

このほか、短気な人はさらに短気になったり、頑固な人はますます頑固になるという性格の変化が生じることもあります。

 

次に、具体例を紹介します。

具体例

       数分前に食事をしたことを忘れてしまっているのに、難しい本を読み理解できている
       通帳を片づけた場所を忘れているのに、会話は正常にできている
       朝は自分で食事の用意ができなかったのに、夕食はの時はできている
       今朝の着替えは自分でできないが、昨晩は自分で着替えは問題なくできた

このようにまだら認知症の症状は、1日のうちでも生活状況や寒暖差などで血流が変化することで、悪化したり改善したりします。

急に症状が悪化した場合、無理せず安楽にして回復を待ちましょう。

2.まだら認知症の原因

まだら認知症は、特定の病気を示しているのではなく、認知症の症状の波の差が大きい状態のことです。

しかし、周囲の人は「昨日できていたことが今日できないということは、ただ怠けているだけだ」「時計の時間は読めるし、難しい計算ができるのに認知症のわけがない」と、ついつい認知症の症状を見逃しがちになります。

では、なぜまだら認知症はこのようなまだら状態が生じるのでしょう。

なぜなら脳は、各部分で担う機能が違うので、脳血管性障害によるダメージを受けた部分の機能は低下しますが、ダメージを受けていない部分の機能は保たれているからです。

そのため、例えば記憶能力は低下しているが言葉の理解や計算能力は保たれているというまだらの状態が発生するのです。

つまり、まだら認知症の症状は、脳の血流が変化していることが関係しています。人間の脳の血流は寒暖差や1日の中でも変化します。

起床直後、食事後、入浴後や暑さで体温が上がった後、水分不足のときなど、脳の血流が低下するタイミングに、一時的に認知症の症状が悪化したりします。

また、レビー小体型認知症パーキンソン症状を併発している場合は、意識の覚醒や血圧の調整をする自律神経が乱れやすいという特徴があります。
そのため夕方や食後に一時的に症状が悪化するのです。
例えば、食後にぼんやりして反応がとても鈍くなり、ときに幻覚を見たり、せん妄と呼ばれる意識混濁・混濁状態になります。

もう一つは身体的な不調が、まだら認知症の症状の出現に関わっていることも少なくありません。
なぜなら、認知症の人は、自分の身体の異常を正確に把握し、伝えることができないのでストレスを感じているからです。

数日おきに認知症の症状の悪化と改善を繰り返すまだら認知症の症状の人が、実は便秘の不快感のためのまだら認知症だったという場合もあります。

様々な原因で起こるまだら認知症ですが、もっとも注意をひつようとするのは脳血管性認知症による「能力の偏り」から起こるまだら認知症です。

また、症状の変化や波が新たな脳血管性障害の徴候である可能性を見逃さないようにしましょう。

3.予防するにはどうしたらいい?

まだら認知症を防ぐためには、脳血管疾患の脳梗塞脳出血予防することが重要です。

高血圧は、脳梗塞の最大の危険因子といわれています。

血圧を抑えるためには、ストレスをためないことや塩分を控えたバランスの良い食生活が有効です。
また、脂質異常症糖尿病、喫煙によっても発病する場合もあります。

新しい脳血管の異常が起きないように中性脂肪・血糖値やコレステロール・血圧をコントロールすることが、まだら認知症の予防につながるのです。

また、脱水にも注意しましょう。
脱水は、夏の暑い季節に起こりやすいと思われがちですが、人間の体は常に水分を外に排出しています。これが不感蒸泄です。

高齢者は、のどが乾きにくくなる、トイレに行くのが億劫になるなどの理由から水分を摂ることを控えがちになります。

体の水分が足りなくなると、血液の粘度が高まり脳血管障害を起こすリスクが高くなります。
脱水の予防を行うには、一度にたくさんの水分を摂るのではなく、こまめに水分を摂ることが効果的です。

ここから、認知症の中でも発見が難しいまだら認知症ですが、その予防対策を紹介します。

まだら認知症の予防対策5選

1.血圧をはかる
高血圧による動脈硬化、さらに脳梗塞を起こさないために普段から血圧測定を行い、血圧管理しましょう。
高血圧の状態を放置しないことです。
もし、毎日高血圧が続くようならかかりつけ医を、受診しましょう。

2.食生活を整える
血圧上昇を抑えるため、塩分控えめの食生活の見直しは重要です。
味の濃い外食は、要注意です。

また、厚生労働省の研究で、牛乳・乳製品を摂ることは脳卒中の予防に効果があることは確認済みです。

脳卒中リスクは、牛乳を1日に130ml摂取することで低下します。

また、水分不足でも脳の血流がわるくなるので、のどの渇きを感じる前に1時間に1回は水分を摂るよう心がけましょう。

3.禁煙‣禁酒
禁煙・禁酒をおすすめします。
タバコを吸うことで血管を収縮させ、動脈硬化のリスクにつながります。
また、飲酒量を1日日本酒を3合以上飲むのは、血圧が上がって虚血性心疾患や高血圧の原因です。
飲酒量が増えれば増えるほど、リスクが高くなります。

4.適度な運動
適度な運動は、血管への負担を下げ血圧をさげる効果があります。
週に3〜4回ほどの軽めの運動をおすすめします。

5.症状の変化を記録する
頭痛やめまいなど何か症状が表れた場合は、その症状の変化・日時・タイミングを記録しておきましょう。

 まだら認知症は発見を見逃しやすい認知症なので、「なにかおかしい」と思ったときは、詳細に記録しておくと医師が診断するときの資料になります。

つまり、規則正しい生活を過ごすことを、目指しましょう。

4.まとめ

今回は、まだら認知症の特徴や原因・予防対策を説明しました。

【まとめ】

       まだら認知症は、記憶力の低下がある
  できることとできないことの差が大きい

       脳の血流の変化と関係しているので、日時・タイミングで症状が異なる

       まだら認知症の原因は、「脳へのダメージ」「自律神経の乱れ」「体調変化によるストレス」である

       まだら認知症の予防対策は、「血圧を測る」「食生活を整える」「禁煙・禁酒」「適度な運動」「症状の変化を記録する」の5選

 

このような5つの予防対策を実践し、末永く健康に過ごしましょう。

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