オリーブオイルの種類と使い分けガイド:あなたの料理を引き立てる最適なオイルを選ぼう

「エキストラバージンオリーブオイル」この言葉を耳にしたことはありますか?
オリーブオイルの世界にはさまざまな種類が存在し、それぞれに特徴があります。

この記事では、オリーブオイルの種類を解説し、その選び方から使い方まで、料理を格上げするための知識を分かりやすくお伝えします。

エキストラバージンオリーブオイルとは?種類別の特徴を解説


オリーブオイルには様々な種類がありますが、IOC(International Olive Council)という国際機関が定めた基準があり、細かくグレードが分けられています。

IOCによると、バージンオリーブオイルとは『オリーブの果実のみを、単に圧搾もしくは他の物理的な方法により得たオイルで、洗浄・ デカンター・遠心分離・ろ過以外の工程を経ることはない。』と定義されています。

わかりやすく言いかえると『オリーブの実をそのまま砕いたり搾ったりしてとったオイルだけをバージンオリーブオイルと呼んでいいですよ。ろ過するなど精製したら駄目ですよ』ということです。

最高品質を誇る「エキストラバージンオリーブオイル」は、オリーブオイルの中でも特に低い酸度を持つ種類になります。
そのグレードは主に「酸度」と言われる指標で分けられます。
「酸度」は、100gのオイル中に遊離している脂肪酸(遊離脂肪酸)の量を%で表す指標です。
簡単にいうと、搾ったオリーブの果実がどれだけ高品質で新鮮だったかを表していて、酸度が低いオリーブオイルほど高品質と考えてほぼ間違いありません。

IOCは酸度によって上から順に下記のようにグレードを分けています。
①エキストラバージンオリーブオイル(Extra virgin olive oil)
酸度が、100gあたり0.8g以下のバージンオリーブオイル。

②バージンオリーブオイル(Virgin olive oil)
酸度が2%以下のオリーブオイル。エキストラバージンよりは香りや風味が落ちますが、料理に使用するには十分な品質です。

③オーディナリーバージンオリーブオイル(Ordinary virgin olive oil)
酸度3.3%以下のバージンオリーブオイル。販売国の法律によっては販売不可なこともあるグレード。

④ランパンテオリーブオイル(Lampante olive oil)
酸度が3.3%以上で食用には適しておらず、工業用などとして使用されます。


以上が「バージンオリーブオイル」に属するオリーブオイルです。
この「バージンオリーブオイル」の他に、「精製オリーブオイル(Refined olive oil)」「オリーブオイル(Olive oil)」という種類があります。

精製オリーブオイル(Refined olive oil)
酸度は0.3%以下だが、バージンオリーブオイル(主にランパンテオリーブオイル)から、当初の脂肪酸組成を変えない範囲で生成したオイル。

オリーブオイル(Olive oil)
精製オリーブオイルとバージンオリーブオイルをブレンドしたもので、そのまま食用に適するオイル。酸度は1%以下。
エキストラバージンオリーブオイルと認められなかった質の低いバージンオリーブオイルの一部は、精製されて酸度を下げたり、欠点を取り除く処理が施されます。
これが精製オリーブオイルです。
その処理をした結果、失われてしまうオリーブオイルの風味などを補うためにバージンオイルをブレンドして作られるのがこのカテゴリのオリーブオイルです。


以上がIOCによるオリーブオイルの区分になりますが、日本は上記のIOC(国際オリーブ協会)には加盟しておらず、日本で販売されるオリーブオイルの表記には、日本の企画であるJAS法(日本農林規格)が適用されます。
ところが、このJAS法には「エキストラバージン」という言葉が定義されていません。

日本農林規格(JAS)の規格では、食用オリーブ油は、「オリーブ油」「精製オリーブ油」の2種類に分類されます。

酸価2.0mg(酸度換算約1%)以下のものが「オリーブ油」、
酸価0.6mg(酸度換算約0.3%)以下のものが「精製オリーブ油」となっています。

オリーブ油:オリーブを絞って抽出した油
精製オリーブ油:オリーブ油をさらに脱酸や脱色、脱臭など精製したもの
と考えると分かりやすいでしょう。

※指標として使われる酸度と酸価は似たような単語ですが、異なる指標です。
酸度は脂肪酸の量を表し、酸価は中和に必要なアルカリの量を表す指標です。
異なる指標にはなりますが、下記の計算方法により、表すことができます。
【酸度(%)=酸価(mg)×0.503】


このIOC基準とJAS基準の違いのせいで、日本のスーパーに並んでいる「エキストラバージンオリーブオイル」の中にはIOC基準を満たしていないものもあったりします。
また、日本独特の呼び方として「ピュアオリーブオイル」というものが存在します。これは
主にIOC基準の「オリーブオイル」が「ピュアオリーブオイル」という名前で販売されているようです。

このように、日本の基準ではIOCのように細かく種類分けされていないので商品選びの際には注意が必要です。

オリーブオイルの選び方とポイント


では、商品を選ぶ際にはどのようにすればいいのでしょうか?

日本で食用として主に販売されているオリーブオイルはIOC基準でいうところの「エキストラバージンオリーブオイル」、「バージンオリーブオイル」、「オリーブオイル」の3種類になります。

このうち、エキストラバージンオリーブオイルの見分け方についてお伝えします。

1.酸度をチェック
ボトルに酸度の表記があればすぐさまわかります。
酸度が0.8%以下かどうか確認してください。
外国語表記だと、acidやacidity、Acidez、Aciditaという表記になります。

2.遮光瓶かどうか確認
高品質のオリーブオイルは光による劣化が一番の大敵。
そのため、「エキストラバージンオリーブオイル」は、色の付いた遮光瓶や遮光性のある保護フィルムに包まれています。

3.価格で品質を見極める
エキストラバージンオリーブオイルは高品質のオリーブを選別し、さらに丁寧に搾油されてつくられています。
そのため希少価値が高く、その分価格も高くなりがち。
ヨーロッパだと現地価格で500mlボトルが安いエキストラバージンオリーブオイルで7€前後(日本円で1200円前後)です。
これに輸送費などをかけると3000円前後にはなると考えられます。
この価格帯よりも安いオリーブオイルは、エキストラバージンオリーブオイルではないと考えていいでしょう。

4.認証マークを確認
EUが定めた認証として、DOP(原産地呼称保護)、IGP(地理表示保護)というものがあります。
絶対ではありませんが、これらの認証があれば高品質なオリーブオイルと考えて差し支えありません。
他にも多くの認証マークがありますが、まずはこの2つを押さえておけばOKです。

5.商品名に注意
「ピュアオリーブオイル」と商品名などに表記されていたら、それはエキストラバージンオリーブオイルではない可能性が高いです。


これらの5点に注目してオリーブオイルをチェックしてみてください。
この5点の多くが当てはまればそれはエキストラバージンオリーブオイルと考えて間違いないでしょう。


料理に適したオリーブオイルの使い方

前述した通り、日本で流通しているオリーブオイルは「エキストラバージンオリーブオイル」
「バージンオリーブオイル」「オリーブオイル(わかりやすくするためにピュアオリーブオイルとします)の3種類です。
このうち「エキストラバージンオリーブオイル」が一番高品質で高価になりますが、それぞれ特徴が違うため、料理や目的に応じて使い分けることで、料理がよりおいしくなります。

一般的に、エキストラバージン含むバージンオリーブオイルは非加熱がオススメで、ピュアオリーブオイルは加熱に適している。と言われています。
しかし、実はどちらも生・加熱ともに使用することが可能です。
ただし一般的な傾向はあるのでそれをお伝えしていきます。

まず押さえておきたいのが、風味の強さ。
風味の強さは、
エキストラバージンオリーブオイル > バージンオリーブオイル > ピュアオリーブオイル
となります。

このため、オリーブの風味を生かしたい料理の時は、エキストラバージンオリーブオイルを。
オリーブの風味を抑えたい、もしくはそこまで風味が関係ない(揚げ油としての使用など)場合は、ピュアオリーブオイルを使用するのが一般的な考え方になります。


1.サラダ

サラダに使用するオリーブオイルは、オリーブの風味を生かしたい場合はエキストラバージンオリーブオイルを使うのが効果的です。
いつものサラダとは違う風味にしたい時など、サッとひとかけするのもいいでしょう。
一方、オリーブの香りを控えめにして、他の食材や調味料の風味をたたせたい場合はピュアオリーブオイルがおすすめです。

2.パスタ

加熱時に使う際は加熱すると風味が弱まりやすいことからピュアオリーブオイルを。
仕上げはオリーブの風味を生かせるエキストラバージンオリーブオイルがおすすめです。

3.揚げ物

基本的には、加熱すると風味が弱まりやすいことからピュアオリーブオイルでいいでしょう。
ただ、エキストラバージンオリーブオイルもおすすめです。
「エキストラバージンオリーブオイルは加熱調理に不向き」と言われることがありますが、それは高価なことが主な理由です。
実はエキストラバージンオリーブオイルほど揚げ物に適したオイルはありません。
まず、エキストラバージンオリーブオイルを使うとさっぱり揚げることができます。
天ぷらをすると、衣がサックサクに仕上がり、全く胃もたれがしません。

また、オイルが酸化しづらく繰り返し使用することが出来ます。
まず、エキストラバージンオリーブオイルは発煙点(加熱した時に煙が出て油が劣化する温度)が210℃です(天ぷらやトンカツなどの適正温度160~180℃)。

さらにオリーブオイルに7~8割含まれるオレイン酸は安定度が高く、加熱しても酸化しづらい成分です。
これらの要因でエキストラバージンオリーブオイルはなかなか劣化せず繰り返し使うことが出来るのです。
豪華な天ぷらを作るときなど、たまにエキストラバージンオリーブオイルを使ってみるのもおすすめです。

オリーブオイル大国であるイタリア、スペイン、ギリシャでは、 オリーブオイルは日常に溶け込んでおり、それはいわば、私たち日本人にとってのしょうゆと同じ位置づけです。
しょうゆは、豆腐や目玉焼きに直接かけたり、調理の過程で使ったりと、 私たちが口にしない日はありません。
それと同じ感覚で、彼らはオリーブオイルを使っているのです。

一度、お店でお気に入りのエキストラバージンオリーブオイルを見つけてみて、しょうゆの代わりにそのオリーブオイルを使ってみてください。
おすすめなのが、冷ややっこに大さじ一杯のオリーブオイルを回しかけ、 仕上げに挽きたての黒こしょうを散らすという一品です。
オリーブオイルの持つ芳醇で奥深い味わいと、 後からピリッと来るオリーブのフレッシュな香りが、 意外にも豆腐のうま味をひきたてます。

もし、それを「おいしい」と感じたなら、惜しみなく色々な場面で使い倒してみてください。
そして、同時にその他のオリーブオイルにも目を向けてください。
しょうゆに様々な風味のする商品があるように、オリーブオイルも製法、ブランド、産地など種類によってバラエティに富んだ味わいを持ちます。
甘みを感じさせるもの、辛みが強いもの、やわらかさや、逆に力強さを持っているもの。
何本か飲み比べてみると、それぞれのブランドのあまりの違いに圧倒されます。

オリーブオイルはレパートリーの広さも魅力の一つです。
ぜひ毎日の料理に取り入れて、それぞれの個性をお楽しみください。

参考
ICO(International Olive Council):https://www.internationaloliveoil.org/
公益財団法人日本油脂検査協会 食用植物油脂の日本農林規格 (主なJAS規格値):http://www.oil-kensa.or.jp/pdf/JAS-kikakuti.pdf 農林水産省 食用植物油脂の日本農林規格:https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/kikaku_01_syokyu_160224.pdf

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