- ストレスが影響?20代の物忘れの原因は?
- 1.20代でも記憶障害が起こることはある?
- 2.記憶障害の原因
- 3. 20代のための認知症予防
- 4. まとめ
高齢化が急速に進み認知症患者の急増していますが、実は認知症は若い世代でも発症するリスクがあることをご存じでしょうか?
65歳以上で発症する認知症のことを一般的に『認知症』と呼びますが、それ以前の40歳~64歳で発症する認知症のことを『初老期認知症』と呼び、18歳~39歳で認知症を発症した場合を『若年性認知症』と呼びます。
「20代で認知症?そんなに若いときに認知症になることはないんじゃない?」と思われるかもしれませんが、過去最年少の認知症発症年齢はなんと18歳。
最新の調査によると日本の若年性認知症患者数は3.57万人と言われており、少なくない人数の若年層が認知症を発症していることがわかります。
この記事を読むことで「最近、仕事でも生活でも物忘れが目立つようになってきた気がする。ひょっとしてこれはなにか病気の兆候じゃないのかな」といった不安を解消し、対策と予防について知ることができます。
若年性認知症に対する正しい知識と対策を知って、毎日の健康増進につなげていきましょう。
20代でも記憶障害が起こることはある?
ではなぜ、一般的には高齢になってから発症する『認知症』が若者の間でも広がってきているのでしょうか。
高齢になってから発症する認知症の誘発原因は『生活習慣病』が深く関係する一方で、20代で物忘れが激しくなる若年性認知症の誘発原因には『ストレス』が大きく関わっていると言われています。
20代で物忘れが激しくなる認知症状が起きている人の脳を調べると、脳委縮が起きています。
この脳委縮が起きる原因そのものは現代の医学ではまだ解明されていません。
しかし仕事などで常に強いストレスにさらされていると脳委縮が進むといった研究結果が出ています。
人間がストレスと感じると、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されます。
このコルチゾールは適度な量であれば問題ありませんが、慢性的なストレスによって長期間にわたってコルチゾールが分泌され続けることにより、脳の萎縮が進むと考えられています。
若い世代は、働き盛りで仕事のストレスも多く、また人間関係のストレスも抱えやすいためコルチゾールの過剰分泌による若年性認知症が起きやすいと言えます。
また、20代で物忘れが激しくなる認知症の症状の原因のひとつに遺伝の影響があると言われています。
アルツハイマー型認知症を発症している患者の10%は遺伝による『家族性アルツハイマー病』であるという調査結果がでています。
両親のどちらかがこの家族性アルツハイマー病であると、その子は50%の確率でアルツハイマー型認知症になると言われています。
その他にも、新しいタイプの認知症として近年話題になっているのが『スマホ認知症』です。
これもストレスによる認知症の一種で、スマホなどのインターネットを通じて毎日大量の情報を浴び続けることで脳が疲弊し、蓄積された脳疲労によるストレスで激しい物忘れが起きるという認知症の一種です。
『仕事や人間関係でストレスを感じている時間が長い』
『アルツハイマー型認知症を発症している親族がいる』
『スマホが手放せない』
といった項目に当てはまる方は、注意が必要です。
記憶障害の原因
認知症の症状には記憶障害、理解力・判断力の低下など(中核症状)と行動・心理症状があります。
~中核症状~
・もの忘れ(記憶障害)
新しいことを記憶できなくなったり、直近で起きたことを思い出せなくなったりします。
体験したことの一部でなく、体験したこと自体を忘れてしまうのが認知症の特徴です。
症状が進行すると以前から記憶していたことも思い出せなくなります。
・時間・場所がわからなくなる(見当識障害)
時間や場所、季節感などの感覚が薄れていき、迷子になったり遠くに行こうとしたりするようになります。
さらに進行すると自分の年齢や家族の存在などの記憶も薄れていきます。
・理解力・判断力の低下
思考にかかる時間が長くなり、同時に2つ以上の事象が重なった状態では相手が誰なのかが分からなくなります。
・身の回りのことができなくなる(実行機能障害)
複数の行動を同時に進められなくなったり同じものを購入したりします。
予想外の出来事が起きたときに対処できなくなるのも認知症の特徴です。
・感情表現の変化
自分が置かれている状況を正しく認識できなくなるため、その場にそぐわない感情表現をするようになります。
例えば「そのような馬鹿なことはあるか」と言われた場合、自分そのもののことを「馬鹿」と言われたと思って怒るような場合があります。
~行動・心理症状(BPSD)~
本人の性格や生活環境、人間関係などの要因が関連している行動や心理面の症状のことを行動・心理症状(BPSD)と呼びます。
分かりにくいかと思うのでいくつか例をあげます。
・認知能力の低下を自覚して元気がなくなる
・自信を失って何もかも面倒になる
・不安、一人になると怖がったり寂しがったりする
・怒りっぽくなる、イライラ、些細なことで腹を立てる
・自分が誰かに狙われているなどと言う(妄想)
・誰もいないのに誰かがいると主張する(幻視)
・自分のものを誰かに盗まれたと疑う(もの盗られ妄想)
症状が進むともの忘れの自覚がなくなることが認知症の特徴なので、探し物に対して誰かが盗んだと思い込んでしまいます。
~軽度認知障害(MCI)~
認知症の症状までは思い当たらない場合でも、加齢によるもの忘れが強すぎるのではと感じられることもあるかもしれません。
その場合は軽度認知障害(MCI)の可能性が考えられます。
厚生労働省は軽度認知障害(MCI)を次のように定義しています。
・年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する。
・本人または家族による物忘れの訴えがある。
・全般的な認知機能は正常範囲である。
・日常生活動作は自立している。
・認知症ではない。
引用:厚生労働省e-ヘルスネット「軽度認知障害」
つまり病的な意味合いが強くなってしまう認知症と比べ、日常生活に軽微な支障はあっても認知障害はないので大きな問題にはなっていない状態のことです。
しかし認知症の特徴とよく似ているだけあって認知症のハイリスクグループに分類されます。
軽度認知障害(MCI)の状態で適切に対処することで、アルツハイマー型認知症発症を防げる可能性があります。
20代のための認知症予防
一般的なアルツハイマー型認知症は発症したあとの平均余命が10~15年と言われています。
さらに若年性認知症の場合は進行スピードが2倍以上早いと言われているため、早期発見が何より大切となります。
20代で物忘れが激しいなどの症状を感じたら、なるべく早くに認知症専門医にかかり服薬治療などの治療をうけることが予後に大きく影響します。
認知症になる一歩手前の段階をMCI(軽度認知症)と呼び、この状態で治療が開始できればかなり症状を緩和できると言われています。
また、若年性認知症の危険信号を感じたら、適度な休息をとって若年性認知症の誘発原因であるストレスを取り除いたり、脳の萎縮を抑える効果があると言われている食品を意識して摂取するなど、普段から積極的な認知症対策を心がけることが大切です。
仕事に追われていてプライベートがおろそかになっていると感じたら、たまには旅行にでかけたり友人と食事をする機会を持つなどすることで、ストレスの解消と脳の活性化につながります。
それ以外にもお勧めな物忘れ対策はコーヒーの摂取です。
コーヒーを1日3杯以上飲む人は、そうでない人に比べて45%も認知症の発症リスクが低いという研究結果が出ています。これはコーヒーに含まれるカフェインやフェニルインダンという成分が関わっているのではないかと言われています。
しかし、コーヒーには嬉しい健康効果がある一方でカフェインの摂りすぎには注意が必要です。
コーヒーの適量は1日3杯程度。前述の健康成分はカフェインを取り除いたデカフェやカフェインレスコーヒーにも含まれているので、朝と昼にはカフェイン入り、午後のリラックスタイムにはカフェイン抜きのコーヒーを楽しむなどして、コーヒーの健康効果を賢く生活に取り入れていきたいですね。
まとめ
20代でも激しい物忘れが起こる若年性認知症について解説しました。
まだ20代でも、激しい物忘れなどの症状が起きる可能性は充分あります。
激しい物忘れといった症状の他にも、不眠や頭痛・めまいであったり、突然怒りっぽくなるなどの変化があれば注意が必要です。
若い世代で発症する物忘れの原因はストレスが第一に考えられます。
その他にも遺伝による認知症やスマホの使いすぎなども物忘れの原因となり得ます。
予防策として、適度な休息によるストレスの解消のほか、若年性認知症の予防が期待できるコーヒーなど、脳に良い食品の摂取も効果的です。
豊かな人生の基本は、心身の健康が第一。
若い世代の方も脳の疲労やストレスには充分気を配って、かけがえのない健康資産を守ってくださいね。